2010年12月アーカイブ

アメリカの建築家であるフランク・ロイド・ライトは、早くから韓国のオンドルに着目し、その有効性について語っています。
オンドルはもともと、朝鮮半島や中国の一部で考案され、使われてきた床下暖房システムです。これは、台所で調理する際に出てくる暖かい煙を床下に通し、それによって部屋を暖房するアイデアです。韓国に旅行した際、僕も何度かオンドルのある旅館や住宅に泊まったことがありますが、その効果は抜群でした。

これは、現在の床暖房の、はしりのようなものと言えます。床暖房は、定義としては「輻射暖房」と呼ばれるもので、床面から徐々に上部へと暖気が伝わり、自然の力によって暖気は上昇していきます。なのでこれは、いわば間接暖房のような、柔らかくおだやかな暖房のため、世代を超えて体も受け付けやすく、吹き抜けがある空間などにも有効です。
建築に、過度な暖房設備を組み込む必要はありません。が、条件や空間に応じて床暖房を採用することは、文字通り縁の下の力として、「建築の暖かさ」を作り出してくれます。

ちなみにライトが床暖房に注目したのは、1914年の日本にて、大倉男爵という、とある支援者の住宅を訪れたことがきっかけでした。この男爵の家ににしつらえられた「朝鮮の間」に、オンドルが設置されていたのを体験し、彼はいたく感動します。そこでライトはまず、自らが東京に設計していた帝国ホテルの一部に、そのアイデアを応用しています。その後、1937年にジェイコブス邸という住宅において、初めて一般住宅に床暖房を応用することになります。
今となってはごく一般的な床暖房ですが、当時においては、画期的なことでした。

(Y.M.)


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