2011年1月アーカイブ

正月明けに、ハウスクエア横浜というところで、茶室についての講演を行ってきました。ハウスクエア横浜は、いろんな会社がモデルハウスを出している住宅総合展示場です。そこで段ボール茶室が展示されたことに関連して、「茶室空間の可能性」と題して、基調講演の依頼をいただいたためです。
展示された段ボール茶室は、もともと故・山田幸司さんという伝説的な建築家が、大学の研究室で製作したもので、織田有楽斎による国宝・如庵を、段ボールによって原寸大で再現したものです。

この企画は2年ほど前に、椙山女学園大学の村上心研究室、大同大学の山田幸司研究室、および国士舘大学の南泰裕研究室の3研究室で、3つの国宝茶室を段ボールで作ろう、というところからスタートしました。如庵、待庵、密庵の3大茶室を、それぞれの研究室に割り振り、原寸大で作って、競演展示しようというアイデアです。
とても残念なことに、山田さんが2009年に不慮の事故で亡くなられ、その企画自体は流れてしまいました。が、山田さんが名古屋で作ったダンボール茶室は残りました。そしてそれが、有志の建築家や学生たちによって横浜に移築され、展示されたわけです。
これが、今見てもすごい迫力で、会場に見に来られた方々は、一様に感嘆の声を挙げていました。

そして嬉しいことに、とあるお茶の団体が「この茶室はとても良くできているので、是非引き取りたい」と言って下さって、改めて、別の場所でも展示されることになりました。
極小空間としての茶室は、もともと、移築再生が容易な建築でもあります。なのでこの段ボール茶室が、移動を繰り返しながら生き続けていることは、茶室本来のあり方を、十分に示しているとも言えます。

小さな構築物の、こうした軌跡に立ち会うだけでも、建築というのは、本当に面白いものだなあ、と改めて思います。
今後もまた、是非こうした面白い企画をやれたらと、海外で段ボール茶室を作ったり、学生や大学間交流によるワークショップを通して、いろいろな製作物を作ることなどを、少しずつ、考えて始めているところです。

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