坂倉準三展と、バタフライ屋根

東京の汐留に、パナソニック汐留美術館があり、ここでは優れた建築展が開催されることが多いので、僕もよく訪れています。

以前、ご縁があり、ここで開催された「坂倉準三展」に、南研究室が模型を出展したことがありました。

坂倉準三といえば、世界的な建築家であるル・コルビュジエの弟子として有名です。また、かつての渋谷や新宿の都市開発にも関わり、文字通り東京の骨格作りに大きな影響を与えた建築家でもあります。

その坂倉さんが設計した住宅を調査した上で、藤山邸という、すでに現存していない住宅の模型を研究室で製作し、展示しました。この模型です。

この住宅の特徴は、バタフライ屋根です。文字通り、蝶々が羽を広げたような屋根の形をしていて、外に向かって広がっているので、のびやかで見晴らしの良い軒下空間が生まれています。

全体は、中庭をコの字型に囲んだ構成で、地形をうまく活かした巧みなデザインとなっており、今見ても惹かれる要素が随所に散りばめられています。

階段で少し上がって、高床になっている玄関部分も、なかなか良いですね。

この坂倉さんの住宅に触発されて、以前、僕も横浜・日吉での住宅設計のプロジェクトで、バタフライ屋根の住宅案を何案も考えていたことがありました。その時の計画案の一例が、例えばこれです。

通常、住宅やその規模の建築は、切妻屋根や寄棟と呼ばれる屋根で計画されることが多いです。が、敷地の形状や条件によっては、このバタフライ屋根としたほうが、自然の光を取り入れやすく、外部テラス等のひさしとして、バランスよく合理的に計画できる場合もあります。

屋根のデザインは、建築全体の骨格を形作る基本要素なので、重要ですね。

ではまた!