軒のある家

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今日は久しぶりの雨です。雨と言えば、まず雨をしのぐ軒下というものを思い浮かべます。
日本は雨が多い国なので、屋根が張り出した軒下の空間は、大事な意味を持ちます。昨今の建築は、法律や敷地の制約などから、なかなか軒を自由に出すのが難しくなっていますが、雨をしのぎ、日差しをコントロールしながら風を取り込む工夫として、軒下や庇は、とても優れた建築の部位です。
職業がら、街を歩いていても気がつくと、建築のいろんな部分に目がいくことがよくあります。そんなときに、特に有名な建築物でなくても、狭い敷地の中で巧みに軒を出している建築に出会ったりすると、「巧いなあ」と感心したりします。
アメリカの建築家であるフランク・ロイド・ライトの建築は、そうした軒を、とてもエレガントにデザインに組み込んでいる住宅が多いので、今もときどき、ライトの建築を参考にすることがあります。
そんなわけで、豊かな軒下のある建築をつくれたら、いいな、といつも思っています。

ところで、先日、僕の務める大学で、建築の学生たちが茶室をつくりました。
僕が指導をしながら、キャンパス内の中庭に、セルフビルドで自分たちで作ったものです。
千利休の「妙喜庵待庵」をモデルにして、茶室空間に関する勉強会を繰り返し、構想段階から一緒に考えて実現させました。
僕が言うのもなんですが、これが、なかなかのできで、学生たちもよくやっていて、感心しました。
茶室には、浮かぶキューブというコンセプトから、<浮立庵>という名前を名付け、茶道部の方々を招いてお茶会も開催しました。
下記が、内観写真です。内部の壁は、様々な素材を使い分けてランダムに仕上げています。掛け軸の書には、「直心是道場」と書かれています。竹に活けられたお花は、秋の季節に合わせ、秋の七草から選んで見立てたものです。
いかがなものでしょうか。

(Y.M.)

浮立庵、内部.jpg


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このページは、implexeが2010年10月 9日 15:28に書いたブログ記事です。

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