2012年11月アーカイブ

とあるアンケートで、将来の最大の関心事として、すべての世代で第一位に上がっていたのが、「健康」でした。
おそらく、多くの人が納得する結果だろうと思います。
何をするにも、健康でなければなかなか思い切った活動が出来ません。
けれども一方で、完全に健康な人は、実際にはほとんどいないはずです。
何より人間は年齢を重ねることで老いていくので、老化による免疫力や代謝力、筋力の低下は、誰も避けられないものです。それに伴って、病気にかかることも多々あります。
そのようなことを考慮した上で、ここで一度、「建築の力で、病気は治るか」とストレートに問いを立ててみました。

結論から言えば、建築の力で、病気を治すことは可能です。少なくとも私は建築の専門家の一人として、そう確信しています。
もちろん、建築が万能というわけではありませんし、すべての病気を治すことはできません。
けれども、環境や空間の力によって人々の心を晴れやかにし、ストレスを低減させ、居心地の良い場所にいることによって癒しをもたらしてくれることも確かです。
実際に私は、以前、設計させていただいた2世帯住宅で、こんなことがありました。
奥様のご両親と同居するというご要望での設計でしたが、そのときすでに、奥様のお母様が癌にかかられており、余命数ヶ月ということでした。
ところが、私が設計させていただいた住宅が晴れて完成し、そちらに引っ越されたところ、しばらくして、そのお母様の癌が治ったのです。これは本当のことです。
もちろん、新しい住宅に引っ越したことだけが、癌の治癒した直接的な原因かどうかは一概に言えません。けれども、それがきっかけの一つになったことは、どうやら確かなようでした。

建築の力で、病気を治し、人々を癒し、体を根本的なところから治癒すること。
それは実は、建築が持っている、きわめて大きな可能性であり、力であると思います。
風が抜け、光が充ち、人々の心と体を根本から解きほぐしていくような、そんな空間を作れたら、建築の設計に携わる者として、これ以上のことはありません。
「センス・オブ・ジョイ」(喜びの感覚)ということを、アメリカの建築家であるルイス・カーンが、かつて繰り返し言っていましたが、誰もが日々の生活において、いろいろな事情を抱えている中で、毎日触れ、接する空間が、豊かであることは、傷ついた体や心を癒し、治癒して行く上で、とても大きな要素に違いありません。
それは、自然治癒力による療法や、漢方薬のように、すぐには劇的に効果が出ないものの、じわじわとじっくり、しかし確実に、人々を良い方向へと導いてゆくのだと思います。

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